PURCHASE GUIDE不動産購入ガイド

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ご購入時の心がまえ

1.譲歩と許容範囲のバランス
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不動産の購入を決める条件として、あなたが真っ先に考えることは何でしょうか。予算?場所?間取り?など、これらの条件は、当然すべて大事です。けれども、あなたの希望にすべて合致する物件にめぐり合うことは、本当に奇跡的なことなのです。「えっ、それじゃ、あきらめろということ?」という方もいらっしゃるかと思いますが、もちろんそういう訳ではありません。ここで、申し上げたいことは、「時には譲歩することも必要」ということなのです。やっとの思いで心ときめくような物件にめぐり会えたのに、自分の条件に照らし合わせてみたところ、「予算オーバーでダメ、場所が遠くてダメ…」なんてことは、不動産を真剣に探せばほとんどの方が経験することと思います。そんなとき、すぐに諦めてしまうと、そもそも品数も多くはない不動産の中で次にいつ心ときめく物件と出会えるかわかりません。物件探しでは、改めて条件面を見直し、そして譲歩することができるか問われる場面が必要となってくるのです。

例えば、予算オーバーであれば、日頃の生活費で無駄を圧縮することができないかとか、または場所が遠いのであれば、出勤ルートの変更で距離を縮めることができないかなど、じっくり考察すれば見直せる点は多々あるものです。このように、不動産を購入する際には、違う角度の目線でなんらかの譲歩(努力)を自ら引き出すことが不可欠なのです。

ただし、譲歩にも許容範囲を守ることは絶対です。生活費の無理な切り詰めで、気持ちのゆとりをなくしたり、ただでさえ仕事の帰りが遅いのに出勤は日の出前に、、なんてことになると家庭不和のもとになりかねません。このような観点から努力を超えた譲歩をしないよう、バランスをとることがとても重要なのです。

ポイントは、「譲歩は必要だけれど、許容範囲を絶対に超えてはならない」ということです。その見極めのためにも、後述のプランニングは大きな役割となります。その結果、あなたやあなたの家族が、譲歩したことも含めて総合的に満足しているのであれば、「大成功の買い物をした」と言えるのではないでしょうか。

2.物件の正しい価値を知る
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「得はしなくとも、損はしたくない」。言い方を変えれば「利益を得たいわけではないが、後悔だけはしたくない」というのが、買物をする際の多くの方々持つ心情ではないでしょうか。買った後に、「えっ?こんな説明受けてないよ」とか「思っていた性能と違う」など想定外の状況が発生すると、人はすごく損した気分になり後悔するものです。

つまり、買物のお会計は「これだけの商品価値があると疑わなかったから、対価としてその代金を支払った」とする前提があります。ですので商品の価値が当初の想定以下と判断すれば、人に自然と沸き起こる感情が「後悔」だと思うのです。あなたも、一度や二度、そのような経験がありませんか?高額な不動産も「後悔」するプロセスはまったく一緒なのです。この基準に立てば、「どれだけの商品価値があるか」を事前に知ることによって、後悔を予防することができるのです。このように書くと、至ってシンプルな話のようですが、しかし、不動産の正しい商品価値を知ることは、そう簡単ではありません。

不動産は、目の前にある〝物″そのものだけではなく、権利関係や建築法令または売却の経緯あるいは地域環境そして相場感など、見えない情報を多く含んでいます。だからこそ商品価値を見極めることが難しいのです。更に言えば、このような見えない情報は、不動産取引の知識および経験がないと、簡単に判断できるものでもありません。そこで、私ども不動産取引の専門家の知識や経験値を活用することで、適正な価値を見出すことができるのです。当然、不動産業者は取引のプロとして、お客様が取引に大きな責務を担っており、その為に国から宅建免許というお墨付きを頂いているわけです。(不動産業者を褒め称えているわけではありません。法令遵守に基づき、緊張感をもって取引しているということです。)

要点を言えば、代金を支払う前に、「できる限り物件情報を把握し商品価値を見極める事」です。そのためにも、あなたと同じ目線でサポートしてくれるパートナー(不動産業者)を見つけること。それが、高額な不動産購入に際し後悔しないための近道だと言えます。

3.プランニングを明確に  
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お問い合わせのお客様で、「家を探して10年になるけど、まだ見つけられないんですよ…」という方に時折出会います。不動産は高額ですから、迷うのが当り前ですし、時には長期戦になってしまうのも致し方ないことです。

しかし、あまりに慎重になりすぎると意思決定がなかなかできなくなり、本来の目的を見失いがちです。その場合は、原点に立ち返ることも必要です。そもそもは、アパートの家賃からいち早く住宅ローンへと切り替え自宅を所有すること、そして将来は子供たちに引き継ぐことなど、財産を造ることが目的だと思いますが、いつのまにか情報収集に埋もれ、その目的を見失っているケースが少なくないのです。不動産購入の決断は、まさに人生の一大事で勇気のいることです。しかし、いつかは決めなくてはなりません。今、決断するのも、10年先に決めるのも、重大なことに変わりはないのです。

このように、決断の基準を見失っているという方は、ライフプランが明確になっていないのではないでしょうか。物件探しの基準がはっきりとしていなから、次の物件そしてまた次の物件へと判断が先延ばしとなっているのかもしれません。今一度、自分自身の生活スタイルに沿ったプランニングを行い、それに基づいた物件をイメージすれば、決断の難易度は確実に下がります。

ここの表では、プランニングに必要な主な事項を列挙してみましたので、あなたにとって優先すべき事は何か?許容できる範囲はどの程度か?というように条件を整理すれば、濃霧の中から光明が差すように、道筋が見えてくるでしょう。まだ、プランニングを始めていない方は、今からでも早速、行ってみてはいかがでしょうか。

エリア 通勤時間、学校区、実家
資金計画 今の年収からどれくらいローンにまわせるか?
広さ・間取り 最低限、何㎡必要か?何LDK?
住宅形態 新築・中古・マンション・一戸建て
地域環境 ショッピング、病院、眺望など
趣味 ペット、スポーツなど
引越時期 年まわり、転勤予定、学年など
その他 上記以外、項目があれば追加しましょう

ご購入の流れについて

不動産のご購入は人生の一大事です。買った後に「こんなはずじゃなかった、、」と後悔しないためにも、不動産取引の予備知識を頭に入れ、その上で計画することが大切です。その努力が自ずとリスクを避け、成功への近道となります。ここでは、不動産を安全にご購入できる基本的な流れをご説明します。

  • STEP01

    ライフプランニング

    不動産を探し始める前に、ご自身とご家族の生活様式や将来像を描き、ライフプランを立てることが大切です。期待ばかりが先行し、現実離れした物件探しを行っていては、思わぬ落とし穴にはまりかねません。ライフプランニングは、ご自身とご家族が意見交換を重ね方向性を統一することで、ご購入の条件を明確化することが目的です。その許容範囲の物件を選択すれば、より満足のいくご購入に繋がります。

    ⦿ライフプランニング詳細を見る

  • STEP02

    資金計画

    資金計画は、ご自身の返済能力を超えないことが大前提です。その目安は、物件価格に応じて2割が自己資金、残り8割を銀行借入とし、その借入額は、年間のご返済額が給与年収(共働きは合算年収)の30%以内に収めることが適切とされています。生活基盤に直結する銀行借入は、銀行Webサイトでシミュレーションすれば返済可能額を簡単に出すことができます。予めこれを把握すれば無理のない資金計画に繋げることができます。

  • STEP03

    物件情報収集

    近年では、不動産専門Webサイトなどインターネット掲載の物件情報が充実しており、効率的に物件探しを行うことができます。しかし、これらのネット情報で全てを網羅している訳ではありません。不動産業者へのお問い合わせや、時には店舗に足を運ぶなど、直接コンタクトを取れば、ネットには載っていない物件情報、相場感、地域特性などを収集することができ、タイムリーな情報を得る機会が高くなります。

  • STEP04

    現地見学

    資料で得た物件イメージと実際に見学した物件では、隔たりが出ることもあります。百聞は一見にしかずの言葉とおり、目ぼしい物件は、ご自身の目で実際の状態を確かめる必要があり、その際は、建物不具合、売却理由、お隣近所付合いなど、資料に載っていない情報を不動産業者から直接聴き取れる機会でもあります。このような物件見学をいくつか重ねれば、焦点を絞ることができ、後のご購入決定に役立てることができます。

  • STEP05

    ご購入決定(交渉)

    ご購入の決定は、ご家族にとっても生活スタイルを左右する一大決心となります。ご購入決定に際しては、ご家族の合意形成を得たうえで行うことが重要です。ご購入の意思が固まれば、売主との交渉へと移りますが、交渉に際しては、ご自身が妥協できること、できないことを明確にし、建設的に話し合いを進めれば合意の可能性も高くなり、双方が合意に至れば売買契約の締結となります。

  • STEP06

    重要事項説明・売買契約

    不動産取引では、資格者(宅地建物取引士)が重要事項説明書の説明を行ったうえで売買契約を締結します。しかし、専門的な条文や記述が羅列する書類をその場で理解することは、不動産取引に精通してなければ難しいことと言えます。腑に落ちないまま契約書にサインしたがために大きな代償を払うことになったら大変です。そうならないためにも、これら契約書類は事前に説明を行ってもらい、内容を理解したうえで契約に臨むことが大切です。

  • STEP07

    銀行融資申し込み

    売買契約を済ませば、銀行ローンの申し込み先を決定して頂くことになります。融資条件は各銀行で若干異なり、代表的なのが金利です。例えば、金利によって月々の返済はそれほど大差なくても、完済時の総支払いでは結構な差額が出たりします。近年では、超低金利の住宅ローンを提供するインターネット特化型のモーゲージバンクも台頭するなかで、金融機関の選択枝も増えています。先ずは、それぞれの融資条件を知ることが大切です。

  • STEP08

    売買代金お支払い(清算手続き)

    売買代金の清算は、買主の銀行融資を実行し、売主へお支払いすれば完了となります。その際、同時に行うのが所有権移転登記、抵当権設定登記、諸費用の清算、そしてカギの引渡しなどです。このように清算当日は、手続きが複数あり、また高額なお金を取り扱うため混乱しがちなのが実情です。落ち着いてミスを無くするには、予め不動産業者と打ち合わせを行い、清算手続きの内容を把握する必要があります。全ての手続きを終えれば、買主名義の権利証は、1週間ほどで発行されます。

  • STEP09

    お引越し

    カギの引渡しを受けて、いよいよ新居での生活が始まります。その前の大仕事となる引越しは、新居のレイアウトを事前に決め、どこに何を置くか平面図に落とし込んでおけば作業がスムーズになります。また、引越しは、不必要となった家財道具を整理する良い機会です。これらを予め処分することで、引越し当日の労力を大幅に軽減することができます。

ご購入にかかる諸費用について

不動産取引では、本体価格とは別に諸費用がかかります。この諸費用は、後に資金ショートとならないように資金計画の段階で予算化しなければいけません。尚、各種税率または控除額は時限措置で変わることもあり、年度ごとに確認する必要があります。

(令和元年4月時参考)

消費税 不動産の種類で課税または非課税になります。
課税対象不動産の場合、売買契約で外税か内税かを取決めします。
非課税対象不動産…土地の譲渡  一般居住用建物
課税対象不動産…アパートやテナントビルなど事業用に供している建物=建物売買価格の10%
収入印紙 不動産売買契約書/銀行ローン借入れの契約書に貼付する印紙です。それぞれ金額で異なります。
売買契約書 【例】 … 1,000万円~5,000万円以下=1万円  5,000万円~1億円以下=3万円
ローン契約書 【例】 …1,000万円~5,000万円以下=2万円  5,000万円~1億円以下=6万円
銀行ローン諸費用 ローン保証料、貸付手数料、団体信用生命保険など、銀行ローン借入れ時に生じる費用です。 銀行によって、これらの費用を貸付金利に組込むなど多少の違いがあります。詳しくは、各金融機関にお問い合わせ下さい。
登記費用 対象不動産の権利関係を登記する際にかかる税金や報酬などです。
<登録免許税>
売買の所有権移転登記 【例】…固定資産評価額×税率2%(住宅専用家屋で軽減税率適用対象:建物0.3%、土地1.5%)
銀行ローン抵当権設定登記 【例】…債権金額×税率0.4%(住宅専用家屋で軽減税率適用対象:建物とその敷地0.1%)
上記、登録免許税金とは別に、司法書士の報酬が加わります。
火災保険料 対象の建物に掛ける火災保険料です。建物種類、規模、築年数そして掛金で保険料が決まります。
スタンダードな保険 【例】…建物掛け金/2,000万円/10年保証/床面積 100㎡/構造 RC造=おおよそ18万円
固定資産税 物件引渡しを年度途中で行う場合、固定資産税は売主と買主が日割で清算を行います。
不動産取得税 不動産を取得すれば掛かる税金ですが、種類によって、税率軽減や税額控除など特例で軽減されます。 ただし、この軽減措置は自己申告制となっており、申告がなければ本則税4%が適用となり注意が必要です。
宅地評価の土地(特例)… 固定資産税評価額×2分の1×税率3%
居住用の土地建物(軽減)… 固定資産税評価額×税率3%
店舗事務所等の建物(本則)… 固定資産税評価額×税率4%
居住用建物(要件有り)の軽減措置…新築建物は評価額から1200万円控除/中古建物は経過年数に応じた金額を控除
住宅用土地(要件有り)の税額軽減…4.5万円または規定算出のうち多い方の金額を税額から控除できます。
仲介手数料 不動産業者に支払う報酬です。宅地建物取引業法で上限額があります。
仲介手数料上限(簡易計算)…売買価格×3%+6万円 (別途消費税)

REAL ESTATE REPLACEMENT GUIDE不動産買い替えガイド

買い換えについて

現在お住まいのご自宅が古くなった、家族構成が変わったなどの理由で「住まいの買い換え」を決め、いざ実行しようとすると、売るタイミング、買うタイミング、その資金計画など、買い換えは取引過程が複雑になり、知識や経験値がないと判断できないことが多くなります。売ることと買うことの両方が成立して始めて成功と言える買い換えは、期待値や感覚だけで闇雲に進めれば大きなリスクを伴います。買い換えは、ご自身の状況に応じ、現実的な観点で進めることが大切です。ここでは、買い換えの指南となる「売却先行方式、購入先行方式」をご説明します。

売却先行方式

特徴
先行してご自宅を売却し、後に新居を購入するプランです。現在、住宅ローンが返済途中の方、または自己資金に余裕のない方に向いてます。例えば、ご自宅の住宅ローンと新居の住宅ローンの二重借入れは、基本的にできませんのでご自宅を売却し、その代金で住宅ローンを完済することがき、次の住宅ローン借入れに繋げることができます。
メリット
ご自宅の売却が成立すれば、新居ご購入の資金計画が具体化し、売却益によっては、元手資金が増え選択枝を広げることができます。一方で、ご自宅が想定価格で売れそうに無いなど、売却の目途が立たないときは、買い換えそのものを中断することができます。このように、新居ご購入の方向性をご自宅の売却結果で導き出せば、売却不調のリスクを後に負うことはありません。
デメリット
ご自宅に住みながら売却することになります。その結果、お客様が見学を希望する場合は、居住空間を内覧して頂くことになりプライベートを完全に防ぐことは難しくなります。そして、買手が決まればご自宅を引渡しするため、ご自身は、次の新居が決まるまで、アパートなどへ一時的な仮住まいを要し、そのご引越しの負担が生じることになります。

購入先行方式

特徴
先行して新居をご購入し、後にご自宅を売却するプランです。ご自宅の住宅ローンは既に完済している、または残り少ない、あるいは自己資金にゆとりのある方は、予め新居ご購入資金に目途がつけられ、新たに住宅ローンを組むことができます。後に、ご自宅を売却したとき、その代金の全部または一部を新居の住宅ローンへ途中償還に充てることができます。
メリット
新居へ引越しを済ませば、ご自宅を空家で売却することができます。その結果、お客様にプライベートの居住空間を見られることなく内覧させることができ、また、お客様においては気兼ねなく隅々まで見れるので検討しやすくなります。そして、買手が決まれば、空家のまま引渡すことができ、ご自身の引越し負担は、新居で行った一回で済みます。
デメリット
ご自宅の売出し価格で売却に至らない可能性もあります。この場合、値下げで対応するか市場の動向によっては、売却時期の見極めるため、その間賃貸で運用するなど何らかの対策を講じなければいけません。つまり、売却不調のリスクは、新居ご購入後に負うことになります。

ご自宅の売却について

「住まいの買い換え」の手引きとなる、売却先行方式、購入先行方式の流れを理解できれば、次は「ご自宅がいくらで売れる?」の見通しを立てることが先決になります。一歩進むためには、不動産業者へご自宅の価格を査定してもらい、それに基づきプランを立てていく必要があります。ほとんどの不動産業者は、査定は無料で行いますので、結果によって買い換えを行わないと判断したとしても金銭的な心配はありません。そして、買い換えを行うと決断した場合は、売却の手順や注意点など、「売却の予備知識を得る」ことが大切です。

REAL ESTATE TROUBLE気をつけよう!不動産トラブル

不動産トラブルについて

不動産トラブルは、物件取扱いが大手の会社とか、相手方のお人柄が良いからなどで、その有無が決まるわけではありません。 例えば、売主がそもそも物件状態を詳しく把握してない、あるいは、隠れた瑕疵が存在している、仲介担当者においては、 知識や経験不足からこれらを間違って解釈してしまったりと、誰かが悪意を持たずしてトラブルになるケースがほとんどなのです。 不動産取引は、一旦トラブルが生じると解決するのに精神的な負担や時間など大変な労力を要します。 そうならないためにも、契約締結前に、トラブル要因を解消しければいけません。 もちろんプロである不動産業者の責任は重大ですが、ご自身においても予備知識を増やし自己防衛する心構えが、トラブル回避へと繋がります。

ここでは、不動産トラブルの参考となるよう実例でご説明します。

事例その1大手の不動産業者に仲介によって中古一戸建を購入した後に、問題が発覚しトラブルとなった実例によって解説します。

トラブルの内容

購入した中古一戸建ての敷地が、登記簿記載の面積100坪に対し実測の面積が10坪も小さくトラブルとなったケース。

この敷地の登記履歴を辿ると、もともと300坪の面積を分筆し兄弟へと分け与えられた相続物件で、最終的な面積は100坪と表記されていた。しかし、もとの300坪の表記がそもそも誤りであり実際のところは290坪しかなく(昔の測量技術で起こるケース、縄縮みという)これから引き算で分筆していけば、残地であるこの敷地は、表記が100坪でも当然10坪小さな90坪となるのです。特にこの敷地は、平成6年頃、分筆作業が行われていたためこのような単純な引き算で登記できた年代(現在は、測量法の改正で残地も実測しなければ分筆できない)でもありましたので地積更正は行われず、売主さえもその誤差を知らないのです。驚きだと思いますが、このようなケースは珍しいことでもないのです。

トラブルの原因

仲介業者の調査不足、もしくは経験不足にも原因があるでしょう。おそらくこの担当者は、登記所より取得した地積測量図と登記簿記載の数量を鵜呑みにしてしまったのです。「公簿の書類だから正しい」と思い込むことは、経験不足の仲介担当者によくあることです。

公簿上の書類には、公信力はありません。仲介業者であれば、まずは疑いの目で見るべきです。先で述べたように、この敷地数量は分筆の過程で単純に引き算された残地面積となっているわけですから、地積測量図にはその算出過程が載っているはずです。そこを見落とさずしっかり確認していれば「あやしい…」となり、契約をする前に担当者自らが巻尺を持って敷地を測るなり、あるいは売主へ土地家屋調査士の調査してもらうよう頼むなどして誤認を回避できたはずです。

トラブルの解決

この案件の解決には、1年近い時間を要したようです。買主から損害を申し立てられた仲介担当者は、耐えかねて上司に相談しました。状況的に仲介責任を免れられないと考えた上司は、①売主の兄弟が所有する隣接の更地の内5坪程度を、買主へ無償譲渡すること、②「①」の分筆費用を仲介業者負担とすること、③買主へ仲介手数料の半額を返還すること、以上の和解案を提示し、長期間話し合いを行った上で解決したということです。解決できたとは言え、その期間に要したそれぞれの精神的な負担と労力は相当なものです。

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